魔女とホンキで向かい合うRPG「Violent Witches」

RPGツクールMV
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スパイク・チュンソフト (2015-12-17)
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もう初リリースから10年以上経っているようだが、アップデートを繰り返して磨き上げられている、作者の情熱を感じるゲームがある。

それが今回紹介する「Violent Witches」(以下VW)だ。

このゲームは一度リメイクした「Violent Witch International」(以下VW_int)というゲームもあり、こちらも合わせてプレイさせてもらった。

この両ゲームについてレビューと考察をさせてもらおう。

【ごちゃ積み輸送機(作者サイト)】

物語は、ある事情を抱えた主人公フランクが、全ての魔女を殺すという目的をもって冒険が始まる。多くは語られず、冒険を進める中で色々な事情が見えてくる構成になっており、VWとVW_intでは少しずつ物語の背景や魔女が違っている。

ゲームシステムは一人と主人公を守るために与えられた宝玉三つ。この宝玉に色をつけることで、個性的な魔力をもった(RPGでいう)仲間になって主人公をサポートしてくれる。作者はそれほど面白いシステムにならなかったと言っているが、そんなに悪くないと思う(もう少し色が欲しいとは思うが)。

では、以下それぞれ分けて見て行こう。

Violent Witches

VWでは、何度も何度も改良が行われているので、非常にプレイしやすい作りになっているし、周回プレイや隠し要素も含まれている。こちらの方がストーリー的にはわかりやすくなっているだろう。

Violent Witches

 

戦闘シーンはドット絵によるサイドビュー。ツクール2003は大変だったらしい。

Violent Witches02

こちらが宝玉システムのパレットシーン。

Violent Witches04

謎の多いヒロインのシュトだが、個人的には発言からとても色気を感じて好きだ。魔女というのはこういう存在なのかもしれない。

Violent Witches03

VWにおいては、通常の攻略後に隠しダンジョンとEDが用意されていて、行くための条件が設定されている。通常の攻略方法では今ひとつスッキリしないEDになるので、グッドエンディングを迎えたい人は以下に注意しよう。

  1. 魔女を6人倒した時点で、滅びた村に行って左下の民家に行き、全ての本を読んでフラグを立てておく
  2. 海岸の街の船着場の男と話してセイレーンを倒す
  3. 海岸の街のコレクターの願いをすべて叶える
  4. 通常のエンディング後、1で入手した情報からスタッフルーム(?)に入る

これだけやっておけば、船の先での戦闘からその後の展開が大きく変わり、氷の魔女を倒すことが可能になる(単純に高レベルでも倒せるらしい)。その後は隠しダンジョンと隠しボスを倒す展開に。

隠しダンジョンでは敵から強力なアイテムが手に入る。「プレジデントスイッチ」のネーミングがセンス良くて笑った。

グッドエンディングは胸をなでおろすというか、報われるので是非見て欲しい。

Violent Witch International

英語でも楽しめるというフリーゲームらしからぬ作りこみとストーリー改善でリメイクされたものだが、ゲームバランスの悪さから評価しにくい作品。

しかし、こちらの方が通常版のVWよりも世界観が濃いと感じるので、人を選ぶゲームと言っていいだろう。

素材のほとんどが自作となっているので、雰囲気がツクール離れしており、バグも多いのだが、その分世界観にどっぷり浸って、スリリングに物語を楽しむことができる。魔女たち一人ひとりの過去、主人公の過去にどっぷりと浸りながら、ひとつひとつ謎を解いていくのが面白い。

Violent Witch International 01

Violent Witch International 02

そして、こちらは戦闘後に全回復する仕様のために魔女は弱く感じるが、雪原から急にボスが強くなって簡単には勝てなくなる。あと、完全防護のフールーさんが妙に強い。

VWと比較すると装備によるごまかしが効かず、アイテムも少ないために戦闘はマンネリしがちだが、いつでもパレットが使えるために宝玉がとても頼りになる。

隠しダンジョンや隠しボスに行くためには、まず宝玉竜を図書館で倒しておいて、その後に(見えにくいが)落ちている宝玉を手に入れておく必要があり、それによって可能になる周回プレイに入ること。物語の各所で一周目に無かった演出が入り、そして図書館に再度入れるようになると、そこから道が見え始める。

隠しダンジョンは敵のレベルも高く、ボスも強い。中ボスの王は眼前でセーブしてしまうと勝てなかった場合に詰んでしまうので注意しよう。

こちらは隠しボスを倒したことで特別にエンディングが変わるわけではないが、主人公の目的を成就したことで気分としてはスッキリすることができる。

考察「魔女と人間」

個人的にはとても気に入った「Violent Witches」。初公開からだいぶ年月が経っているようだが、今こそ、ぜひ多くの人にプレイしてほしい。

さて、ここから先は長く、攻略やゲームの内容とは若干離れるので、こういうのが好きな人だけが見てもらえたら。

このゲームの魔女たちは、魔女かと言われれば難しい。

本来、魔女というのは魔力を持って魔法を使うことができる存在であり、それゆえに人間に恐れられるものである。そして、魔女はその力ゆえに場合によっては崇められ、場合によっては神の側を名乗るものたちから狩りに遭う。

上記ゲームでは、個人的な恨み(+α)によって魔女を狩ることが目的になるわけだが、目的を達成しながらも気分がスッキリしないのは、ひたすらこの魔女狩りが後始末だからである。

シュトがゲーム中で言うように、「生まれながらに魔女ではない」のであり、「魔女になった」という表現がぴったりで、登場する魔女たちは皆、現世において浮かばれない悲しい過去をもった女たちであり、それが力となって変化している。ゲーム中で彼女たちは「本当の魔女」という扱いはされていない。

2016年になっても、いまだにアフリカなどで「魔女狩り」なるものが行われているが、悲劇なるものでしかない。魔女を定める根拠は乏しく、そして誰かのアジテーションによって行われているからだ。ゲーム中でも、人々は魔女に対して一方的に恐怖しているが、魔女たちが人間に対して直接干渉しているシーンは見られない。むしろ人間が魔女にしろ竜にしろ、勝手に敵に回して富を得ようとしているように見える。

それでもフランクは自らが魔女に勝るとも劣らぬ不幸な立場だからこそ、魔女たちを倒している。「不幸はもっと大きな不幸でしか塗り替えられない」から、「終わらせる」という手段をとっている。どの魔女に対しても、倒した後は異常に優しい。これが彼の性質なのだろう。

このゲームにおいて魔女たちは、「女」という言葉をよく使う。権力者である「男」に対して、妖しとも取れる、その「女」たちが持っているその性質こそが魔女なるものを作り上げた最大の要因だろう。執着、嫉妬、恋慕、誘惑、憤怒、激情、寂しさ、弱さ、あらゆる性質から男を取り込み、飲み込む、その恐ろしさは今なお残っている。しかし、それは一般的に言われるような「魔女」ではなく、「女」の性質である。どんなにその女が人を不幸にしようが、女でしかない。魔女ではない。魔女は人が作り上げたものに過ぎない。

魔女と言われたものたちが「女」の武器を捨てようとし、男たちが「女」を許容することができたときに、本作のグッドエンドが現実でも見られるのかもしれない。

真性の魔女というのは、VW_Intの中に出てくるような特異な背景なしには成立しようがないものであるが、今なお、世界のどこかで魔女狩りなるものが行われているし、話題を変えれば神の名を借りた宗教弾圧や争いも世界中で行われている。

魔女とホンキで向かい合うように、ホンキで向かい合うことが無ければ、そうした悲劇は解かれないだろう。

「俺はフランク、名前は意思を表す」

理解が難しいものに対しても、偏見にしばられない、誠実で率直な向かい合い方を考えてほしい今の時代である。

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